研究課題
基盤研究(C)
一時的な栄養素飢餓後の栄養素の再補充が骨格筋細胞のタンパク質合成促進シグナルに及ぼす影響について検討した。培養細胞レベルでは、培地中の分岐鎖アミノ酸やグルコースを除き、骨格筋細胞を一時的に飢餓状態にした後、栄養素を再補充するとタンパク質合成促進シグナルが増強した。一方、マウス個体においては長時間の絶食は栄養素再補充による骨格筋タンパク質合成促進シグナルを減弱させた。すなわち、骨格筋タンパク質合成の促進には適切な飢餓ストレスが重要であることが示唆された。
運動栄養学
本研究は、骨格筋量の維持・増進のためには栄養素の一時的な飢餓によるタンパク質分解が重要であることを明らかにした点で社会的意義がある。すなわち、運動や栄養摂取によるタンパク質合成の活性化のみに注目するのではなく、適切な飢餓(空腹時間)を設けることが重要であることを示した。また、培養細胞に対する栄養素の一時的飢餓と再補充の効果は、個体とは異なっていた。生体では一時的飢餓による生体反応は、神経系や内分泌系により複雑に調節されている可能性を示した点で学術的意義がある。