研究成果の概要 |
ペース走を基本とした中学生の長距離走単元をとりあげ,ペース配分をコントロールして走る技能的なセルフ・コントロール(以下SC)能力を獲得しつつ,心理的なSC能力をも獲得することを,単元カード及び事前事後の質問紙調査(BSCS-J)から明らかにすることを目的とした. 技能的SC能力は,予測値と結果値の差の絶対値(以下,差ABS)が単元の前後で縮小した.一方,心理的SC能力についてのBSCS-J調査結果は,単元の前後で有意な変容がみられなかった.以上のことから,本長距離走単元で,技能的SC能力を向上させることはできるが,心理的SC能力は有意に変容することはないことが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
体育学習は,知識・技能習得の認知的学習と人間性育成等の非認知的学習からなる.両者を同時に育成しうる保健体育科としての存在意義を本研究で確認できた.従来の報告通り,認知的な能力としての技能的セルフ・コントロール(以下SC)能力の向上が確認できた.一方,非認知的な能力である心理的SC能力が体育学習を通して変容するかどうかの検証結果は,変容を認めることができなかった.しかし,体育学習において心理的SC能力に焦点をあてた非認知能力に関する研究結果を報告することができた.学習指導要領で求められる育成すべき3つの能力の一端を検証することができた.
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