研究課題
本年度は、全身持久力以外の体力(柔軟性)と疾病発症との関連を調査し、新規予防法開発に向けたコホート研究を実施した。年齢調整モデルにおいて、高い柔軟性は、低い高血圧の罹患率と関連していた。多変量調整モデルにおいて、最も高い柔軟性グループは、最も低いグループと比較して、15%低い高血圧の罹患のハザード比であった(HR, 0.85 [95%CI, 0.78 - 0.92])。柔軟性と高血圧罹患との間には有意な負の関連があった(P for linearity = 0.007)。感度分析において、高血圧を収縮期血圧が160 mm Hg以上および/または拡張期血圧が100 mm Hg以上に分類した結果でも確認し、多変量調整モデルにおいて、柔軟性は高血圧罹患と関連付けられたままであった。最も低い柔軟性(Q1)と比較して、ハザード比と95%CIは、Q2で0.97(0.87-1.08)、Q3で0.90(0.81-1.00)、Q4で0.82(0.74-0.92)であった(P for linearity = 0.003)。BMIが25.0未満の参加者においての感度分析でも、柔軟性は高血圧罹患と関連付けられたままであった。最も低い柔軟性(Q1)と比較して、ハザード比と95%CIは、Q2で0.96(0.87-1.06)、Q3で0.95(0.86-1.04)、Q4で0.84(0.76-0.93)(P for linearity = 0.005)。フォローアップ開始後1年以内に高血圧を発症した人を除外した後の感度分析においても、柔軟性は高血圧罹患と関連付けられたままであった。最も低い柔軟性(Q1)と比較して、ハザード比と95%CIは、Q2で0.99(0.90-1.10)、Q3で0.98(0.89-1.08)、Q4で0.85(0.77-0.94)(P for linearity = 0.032)。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた計画を遂行できている。次年度の研究までは進んでいないため、計画以上に進展している状況とは言えない。
本研究課題の今後の推進方策としては、予定していた残りの研究を進め、新規予防法開発のための疫学研究として、柔軟性に焦点を当てた文献レビューを実施する。現状では、研究計画の変更の必要はない。
(理由)物品および英文校正について、今年度ではなく次年度の発注がふさわしいと判断したため。当初予定した海外渡航費や国内学会参加のための旅費の支出が無くなったため。(使用計画)物品およびオンラインでの会議参加費用のために次年度使用する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
The American Journal of Medicine
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