令和元年度は,日常の身体活動、健康的な食事、および強みの活用の3つの健康行動の促進を目的としたスマートフォン用アプリケーション「健康道」の開発を行った.本アプリケーションの開発にあたっては,参加者のアプリケーション利用の継続率を高めるためにゲーミフィケーションの原理を応用した。アプリケーションの内容は、1)3つの健康行動に関わる課題の達成状況のチェック&グラフ表示,2)健康情報の受信、3)獲得ポイントによるランキング表示,4)ソーシャルネットワーキング・サービス、および5)バッジの表示などであった。 令和二年度は,アプリケーション「健康道」の問題点を洗い出すために、大学生8名(男子5名,女子3名)を対象に10日間の試行実験を行った.このアプリケーションの利用頻度に基づき「高アプリ利用群(4名)」と「低アプリ利用群(4名)」の二群に分けてアプリケーションを利用することによる自律性、有能感、および関係性の欲求の充足度について比較したところ、高アプリ利用群の方が,低アプリ利用群よりも自律性および有能感の欲求が充足されていたことが明らかになった. 最終の令和三年度は,アプリケーション「健康道」の効果検証のための本試験を行った。対象者は大学生44名(男子14名,女子30名)であり、介入群と統制群の二群に分け30日間の介入を行った.その結果,健康的な食行動が促進され,アプリケーション利用による心身の健康の向上も見られた。また,アプリケーションの利用継続率についても高く維持することができた(中央値=21.5/30日)。これらの結果から,心身の健康増進に果たす本アプリケーションの有効性の一部が示された。
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