研究課題
基盤研究(C)
25歳から69歳までの若・中年齢者と85歳以上の高年齢者の顎下腺を用いて、免疫組織化学的解析、分子マトリクス電気泳動法(SMME)を用いたムチン分析を実施した。本研究では、主にムチンと考えられる酸性の粘液物質が、通常、ムチンを産生する細胞以外の細胞において老化により新たに産生される可能性があること、ヒト顎下腺ムチンの糖鎖は、マウスの顎下腺ムチンと同様、core-1型の糖鎖にシアル酸がα2-3結合で付加された構造を有することが示唆された。
分子細胞生物学、糖鎖生物学
高齢者の多くが罹患する口腔乾燥症状(ドライマウス)は、唾液粘性の亢進を伴い、高齢者のQOLを低下させるだけでなく誤嚥性肺炎の発症リスクを高める。本研究では、唾液分泌組織である顎下腺の構成細胞のなかでムチン非産生細胞と考えられている細胞において高齢者ではムチンが産生されている可能性やムチン糖鎖構造に関する知見を得た。これらの知見は、高齢者の口腔乾燥症状の機序解明の新たな糸口となり、将来の治療に寄与することが期待される。