研究課題
幾何的特徴を持つ様々なグラフは地理情報やセンサーネットワークなどの幾何データをはじめ,様々な実問題のモデル化として現れるグラフである.本研究では,列挙索引化手法として有用であるデータ構造ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)およびそれを効率的に構築するフロンティア法を用いた幾何的特徴を持つグラフを列挙する効率的なアルゴリズムの開発を行った.主な成果として,1. 入力のグラフから幾何的な特徴を持つ部分グラフを抽出するアルゴリズムと 2. グラフ同型性を考慮したグラフの列挙アルゴリズムがある.1.フロンティア法を拡張した色付きフロンティア法,および色付きフロンティア法により得られた決定図を効率的に ZDD へと変換する脱色演算法を提案した.これらを用いて幾何的特徴を持つグラフであるコーダルグラフおよび区間グラフに対する高速な列挙アルゴリズムを開発および実装を行い,これまで高速であるとされてきた列挙アルゴリズム技法である逆探索法では列挙できない大きなインスタンスに対して列挙索引化に成功した.2.ZDD は部分グラフを列挙索引化する手法として優れているものの,グラフ同型性を扱うことは難しいとされてきた.本研究では,幾何的な特徴を持つグラフにおける文字列表現およびその対称性をうまく扱うことにより,効率的な列挙アルゴリズムの開発を行った.具体的には真区間グラフ,二部置換グラフ,補鎖グラフ,鎖グラフに対して,ZDD を用いて多項式時間のアルゴリズムを開発し,真区間グラフにおいては 100倍以上のサイズのグラフを列挙することができた.また,これらのアルゴリズムは拡張性が高く,クリークサイズや辺数などの制約を加えたグラフ構造を列挙することができることを示した.
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Theoretical Computer Science
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