研究課題
基盤研究(C)
情報が完全に得られない状況下でエージェントが質疑を行いながら自身の知識・信念を如何に更新するかを論理的帰結関係を推論単位とする推件計算の観点から研究を行った。質疑を扱う点に関して、疑問文と平叙文を同一設定で扱うinquisitive logicの述語論理拡張の推件計算を整備し、不完全状況下での推論を扱う点については、直観主義論理上の認識論理やその動的拡張の推件計算を整備した。特に、複数エージェントの知識の組み合わせに関わる分散的知識概念について集中的に研究を行った。
論理学
本研究は、不完全情報下で「なぜ」「どうして」といった質疑によってエージェントの知識・信念の更新がどのようになされるかを、疑問文を伴う推論の側面から証明論的に探究し、環境から情報を手に入れながら自律的に動作するロボットの制御、質問により嘘・矛盾を見抜く対話システムの設計に、論理的基盤を与えることに貢献しうる。証明論的手法は、環境について部分的情報しか知り得ない不完全情報下では、モデルの完全記述が必要なモデル理論的手法より利点がある。