近年,確率熱力学において熱力学不確定性関係と呼ばれる普遍的な不等式が成立することが発見された.この不等式は「cost」と「quality」に対する不等式であり,高いqualityには高いcostが必要であることを示している.このようなトレードオフ関係式は統計的推定理論においても,Cramer-Rao不等式をはじめとして数多く存在する.本研究では,非平衡熱力学と統計的推定における不等式間の類似性に着目し,非平衡系における関係式を統計的推定の観点から解明した.古典・量子推定理論を用いることで,古典・量子系において新しい熱力学不確定性関係が成立することを示した.
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