本研究課題の目的は、「受講者の受講状況に基づいたオンライン授業映像の評価・改善システム」を提案することである。同システムでは、「授業映像の閲覧状況」、「受講姿勢」、「ノートの筆記状況」などの受講状況データを解析して、受講者のつまずき点を定量的に明らかにし、授業映像を作成した講師に授業映像の評価・改善箇所を提供することである。このうち、2022年度の課題は、以下の2つであった。 (1)3種類の受講者データ(閲覧状況の推移、受講姿勢の変動、筆記状態の変化)から、多数の受講者が戸惑い行動をしている箇所を授業内容のつまずき点として検証する。 (2)受講アンケートによる受講者の主観的な評価と客観的な受講者データから得られたつまずき点を比較することで、提案システムの有効性を検証する。 これに対して、2022年度は以下の研究成果を得た。 学生達が各自のノートパソコンで閲覧している授業コンテンツのページ番号を教員がリアルタイムに把握するための授業支援システムを開発した。本システムを対面授業中の教員が利用すれば、説明している授業コンテンツのページ番号と学生達の閲覧しているページ番号のグラフを比較することで、多くの学生が前のページを閲覧している場合は、説明を遅くし、再度説明をするといった授業改善を授業中に行うことが可能となる。また、パワーポイントで作成した既存のデジタル教科書を容易に利用できるため、授業コンテンツを提案システム向けに新しく作成する手間は必要ない。実験の結果、複数の学生の閲覧ページのデータをサーバが受信して集計することができ、リアルタイムにグラフを更新できることが確認できた。
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