各種設定において、南極沿岸域の3つの水塊(低温・高塩分の高密度陸棚水、高温・高塩分の周極深層水、高温・低塩の夏季表層水)の棚氷下への流入パターンの変化が、棚氷底面融解量を規定することを明らかにした。温暖化実験では、棚氷融解量が温暖化レベルに対して非線形応答することを見出した。さらに、全球1度全球モデルで2500年にわたる長期積分と仮想トレーサー実験を行い、南極沿岸の水塊の動態や海盆間の物質循環の時間スケールを見積もることに成功した。本課題による成果は、棚氷融解を数値モデルで直接表現できた点で学術的意義があり、また氷床変動を規定する棚氷変動の理解は海水準予測に貢献することから社会的意義も高い。
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