放射線被ばくによる健康影響として発がんがよく知られているが、発がんに関連するドライバー変異は、大半の固形腫瘍では同定されていない。唯一、放射線起因の小児甲状腺がんでは、高頻度に見られるドライバー変異として、RET/PTC等の遺伝子融合型変異が報告されているが、本研究の結果、RET/PTC変異が、高線量の放射線照射では直接生成されることが示唆され、高線量放射線被ばくでは、放射線起因の遺伝子変異が直接関与する可能性が示された。一方、1 Gy以下の低線量放射線では、その可能性は極めて低く、放射線発がんの要因として放射線による変異以外の誘発経路を考える必要が提示された。
|