研究課題
基盤研究(C)
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、多岐にわたる分野での応用が期待されている一方、ヒトへの健康への影響が懸念されている。好中球様細胞に分化したHL-60細胞を用い、MWCNTが及ぼす影響について解析したところ、マクロファージによるエフェロサイトーシスを回避させるMWCNTが存在することが見いだされた。また、これらMWCNTは、好中球の細胞内カルシウム濃度を低下させ、細胞外へのホスファチジルセリン提示を抑制することにより、効率的なエフェロサイトーシスの阻害を引き起こすことが明らかとなった。
毒性学、分子生物学
ナノ材料は多岐にわたる分野での応用が期待されている一方、微小物質という形体的特徴から、ヒトの健康への影響が懸念されている。しかしながら、現在までのところ、ナノ材料の安全性を確保するための十分な情報は得られておらず、生体内に侵入したナノ材料が好中球に及ぼす影響に関しては全くの未知であった。本課題が明らかにした多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の物性と好中球への影響は、MWCNTのみならず、他のナノ材料の安全な取り扱い方針策定や新規ナノ材料の開発に貢献するものである。