研究課題/領域番号 |
19K12491
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
矢嶋 巌 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (80513845)
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研究分担者 |
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098) [辞退]
中山 文 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30217939)
鹿島 基彦 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (10443251)
三田 牧 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (50455234)
中村 健史 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (50753505)
坂口 太郎 高野山大学, 文学部, 専任講師 (50724142)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 明石 |
研究実績の概要 |
本研究は、兵庫県明石市を対象として、「住民が、その地域をどのように認識しているかか」という問題(「地域の自画像」)を考察する。実際の研究にあたっては、はじめに明石地域に関する資料アーカイブを構築し、これを基盤として共同研究を進めてゆくこととした。本年は主に、明石地域に関するアーカイブ構築とそれを基にした個別・共同研究を行った。まず、郷土史料、地図、航空写真、地域の現状に関する写真、祭事や民俗に関する写真資料について整理を行い、タグ付け等を施してアーカイブ構築の準備作業を行った。またさらなる資料の増補につとめ、特に近代史料、統計資料、新聞記事、地域の現状に関する写真などの収集につとめた。以上の資料のうちから、特に有意義なものを抽出し、個別の分析・検討を加えた。具体的には以下の二点である。(1)地図、近代史料、統計資料等を利用し、朝霧川の水害や通勤通学流動を分析することによって明石地域に工業都市・田園郊外(昭和戦前期)、住宅衛星都市(高度成長期)としての性格があったことを明らかにした。(2)文学作品及び史料類を活用し、明石藩主松平信之が領内の史跡や風景を文学的伝統・定型に基づいて理解していたかを明らかにした。(3)新聞記事等を利用し、現代の明石市民が明石地域をどのように把握しているかを分析しつつ、教育演劇の試みとしてそれを戯曲化した。以上の研究成果については、代表者・分担者の所属する学会において発表・報告したほか、一部を論文や注釈のかたちで公表した。なお(3)に関しては、本来明石市民を観客として朗読劇として上演し、観客への聞き取りを行うことで、本研究の一部とするはずであったが、コロナ禍により戯曲集の出版に留まらざるをえなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度末にはデータベースを完成させ、その内容を基に地域住民にひらかれたシンポジウムの開催を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の拡大により、シンポジウムを実施することができなかった。また、昨年度多くの追加資料を収集したこと、コロナ禍による作業の遅れが生じたことなどにより、年度内にデータベースの整理が終わりきらず、次年度も若干の調整が必要となった。ただしその度合いは深刻なものではなく、21年度の早い時期にデータベースを完成させられる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、シンポジウムが実施できず、現時点までの研究に対する地域住民の反応を確かめられなかったことは「遅れ」であると認めざるを得ないが、一方、個別研究では着実のその実を挙げており、今後の新型コロナウィルス流行の状況を注視しつつ、21年度以降にシンポジウムの開催を実現したいと考えている。また、これ以外の点については、基本的に当初の計画通り進めてゆくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により当初計画していたシンポジウムが実施できなくなったため。
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