研究課題/領域番号 |
19K12492
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
堀江 正伸 武庫川女子大学短期大学部, 英語キャリア・コミュニケーション学科, 教授 (70806819)
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研究分担者 |
森田 良成 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30647318)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 持続可能な開発目標 / SDGs / 国際協力 / 開発支援 / 人道支援 / インドネシア / 農村開発 / 支援政策 |
研究実績の概要 |
2019年度は、参考資料集め、読み込み、さらに9月にインドネシアで現地調査を行った。調査以前の4月から8月までは、グローバルな開発目標であるSDGsに関して、設定の背景や進捗に関する理解を深めた。また、調査地であるインドネシアの行政システム、開発政策の歴史、現在の中長期開発計画、海外からの開発支援援助の受入状況などについても情報収集を行った。 9月に行った現地調査の目標は、インドネシアの首都レベルで、SDGs達成に向けて各種開発主体がどのような政策を計画しているかを知ることであった。さまざまな種類の開発主体から資料の供与を受け、またインタービューにも応じていただいた。それらは、国連機関、二国間協力機関、NGO、市民フォーラムであった。 首都レベルでの一応の調査を終えた後、2020年度以降に本格的に調査を行うNTT州の州都クパン市、さらにはケースとして取り上げている農村でも若干の調査を行うことができた。 本年度の最大の発見は、仮説に誤りがあったことが判明したことである。当初の仮説では、開発政策において、国政レベル(関係省庁、支援機関の首都事務所)と、地方レベル(州レベル、県レベル、市町村レベルの関係地方自治体事務所、地方の支援機関)の間に温度差があるのではないかというものであった。しかし実際のギャップは、州レベルと県レベルの間にあることが分かった。 原因は、インドネシアにおいては地方分権の重要性が首都レベルで周知されており、その際に具体的に示される「地方」が州であることがあげられる。この傾向は、海外の支援機関の活動にもみられる。つまり、州レベルは、その地理的位置に関係なく、中央レベルと考えることができるのである。その一方、県レベル、市町村レベルは、伝統的統治を未だ色濃く残しているように見受けられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、研究背景に関する情報収集、第1回現地調査を行うこと、さらに調査で得られた情報をもとに論文執筆、学会発表を予定していた。 進捗としては、実績に記した通り、情報収集、現地調査は行えたが、論文執筆、学会発表は行えなかった(2020年6月に予定)。その理由としては、研究以外の教員としての業務が多忙となったことがあげられる。特に2月より新型コロナウィルス感染症の関係で、4月以降の授業計画を見なおす必要に迫られ、論文執筆を予定した2、3月は多忙であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在(5月)、新型コロナ感染症に伴う大学授業形態が固まり対応が一段欄した。5月、6月には、前年度の遅れを取り戻すべく、論文執筆や研究発表を行いたい。研究発表は、6月に既に予定されている。 また、今年度現地調査は、州レベル、県レベル、市町村レベルでのSDGsの浸透、SDGsが目指しているものと、現実のギャップを探ることである。新型コロナ感染症の影響もあろうが、可能となったら迅速に現地調査を行いたい。 それまでに、昨年度調査で明らかになった課題について文献調査を進めて理解を深める必要がある。具体的には、インドネシアの地方部における土地所有に関する法令と認識の差異や、民族意識についてである。それらはグローバルレベルのSDGs達成に向けて具体的施策を決定するうえで、また実行するうえで「妨げ」となる可能性が高いからである。一方で、人々の認識、意識などは開発政策により一律に変化を押し付けるべきものでない。 本研究の全研究期間の目的は、SDGsをローカルな場に沿って見直すことである。よって、本年は「ローカルな場」への理解ということを中心に研究を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度予算には、国内での学会報告費などが含まれておりながら、学会報告が行えなかった。2020年度には、報告回数を増やし、有意義に使用していきたい。また物品費に関しても、インドネシアの伝統的統治に関する知識の習得などが新たに必要となったため、研究図書を購入したい。
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