研究課題/領域番号 |
19K12597
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
森田 雅子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40249503)
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研究分担者 |
黒田 智子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (10223968)
三宅 正弘 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (50335783)
大井 佐和乃 武庫川女子大学, 生活環境学部, 嘱託助手 (60779221)
加登 遼 武庫川女子大学, 生活美学研究所, 嘱託助手 (50849396)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 聖地研究 / 住民評価 / 甲子園 / 生活文化 / 応援文化 / 野球 |
研究実績の概要 |
ランドマークの定義の明確化 成果1:フィールドワークと文献調査による聖地研究の視点の明確化 甲子園開発地は武庫川派川枝川旧河道を埋め立てた甲子園筋、その東西に連なる甲子園球場を支点とする宅地として阪神電鉄により分譲された。①球場が水路(みずみち)、道の交差点に出現する特異な地理的形態を可視化し、国土改良の偉業称揚のメモリアルとしてのランドマークとして機能しているかを検証した。②競技を儀礼と捉え、儀礼にふさわしい立地点に空間を確保し、その儀礼の執り行われる領域(聖域)を設営し、聖地性をメディアでどのように強調延命しているか、この2点を照準に文献調査と住民に対するアンケート調査、および他の有望な着目点については予備調査を行った。 成果2:聖地を取り巻く地域の生活文化の変容の炙り出し 現在では大衆文化とみなされる野球は、維新以降、『東洋學藝雑誌』の論考でも頻繁に取り上げられたように、欧米列強を跡追いする生活の洋風化の中でエリート(学生、軍隊)が富国強兵に合力する団体競技としてもてはやされた。新聞界が世論を後押し、高校野球の原型が出現した。離農した街中流民にお誂えの武士道と郷土愛とを野球応援文化のコアに据えた仕組みが21世紀でも生きている(高橋豪仁2011)。世界中に散見される野球に類似した球戯は数々あるが、メゾアメリカ考古学では豊穣や雨乞いの生贄の儀礼と結びつけられた球戯場の遺跡が注目される(Eric Taladoire 2012, Claude-Francois Baudez 2012)。そこには現代日本の球児に託す起死回生の萌芽的挑戦の美学に通底するものがある。以上、2020年6月刊行予定『生活美学叢書』「甲子園 聖地論考―生活美学的観点から―」に23,000字程度でまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート実施・回収・集計に非常なる労力を費やしていて、詳細な分析まで至っていない。 実施は6868世帯、残り6912世帯配布予定である。回収、集計は道半ばで、600件ほど手入力済である。484件の手元のデータを参照し、まずは度数分布的にピックアップし、概要を述べる。住環境評価、地域活動参加度、野球に対する関心、移動軌跡および習性、生活行動のサイクル、自由記述欄を多数設けた。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート実施については6868世帯、残り6912世帯 配布となる。集計は道半ばで、600件ほど手入力済である。アンケートは30問、選択肢等181項目、自由記述欄21項目で構成されている。アイデンティティと住環境評価についてさらに詳細に分析をしていく。 また感染症対策で緊急事態宣言が通知され、研究活動が協働できないか不十分でヒアリングなどが実施しづらい状況である。協力対象の地域住民に不用意にストレスをかけるのはいかがかと思い、緊急事態宣言の終息および事態の安静化を待つ。アンケート結果前半の入力作業があるので、そこに力をそそぎ、学会発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート実施のための通信運搬費がかさみ、旅費・謝金を控えた。
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