研究実績の概要 |
本研究は、議会のジェンダー公平な代表性を確保するために導入されたジェンダー・クオータ(女性候補者割当制)の効果とその制度が女性の政治的代表性に及ぼす影響を韓国の事例により分析するものである。クオータ制度が導入されて20年を超える韓国で、国会の女性議員は未だに2割に至っておらず、若い世代を代表する議員も少ない。本研究は議会の多様性とジェンダー平等を進めるための制度というクオータ制度の本来の目的がどれだけ韓国の議会に受け入れられ、制度として定着してきたのかを明らかにすることを目的とした。 そのためにこれまで20年間女性候補者クオータ制度とその関連制度(政党の候補者選定方法や政治資金制度など)がどのように変化してきて、政党によってどのように運用されてきたのか、現状を把握し分析した。また政策の当事者である議員たちがクオータ制度や女性の政治代表性についてどのような考えをしているのかを調査し、とりわけ実質的な代表性の観点から、クオータの制度化を妨げる要因や抵抗、政治代表性に及ぼす影響を分析した。 2021年度には、滞っていた韓国の国会議員に対するインタビュー調査を実施することができたため、研究計画をキャッチアップすることができたおかげで、2022年度はその成果として、英文論文2本(1本は2023年1月にInternational Political Science Reviewに掲載、さらに1本は台湾の政治学ジャーナルに投稿中)、そして英語書籍の章としても刊行された(Routledge, 2022)。その他、2023年1月には日本で国際研究集会を共催し、これまでの研究成果を発表した。
|