メコン河中流域両岸の異言語横断型地名履歴デジタル辞書の構築

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K12700
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 永田 好克 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70208023)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 人文情報学 / 地名辞書 / メコン河中流域 / 地図

研究実績の概要

本年度は、本来の計画では、タイおよびラオスの地名履歴データを構築するために必要な調査として、地図資料ならびに関連図書資料の収集と、タイにおける聞き取りによる村落レベルの古い地名に関する情報の収集を初年度の調査結果を加味して進めることを予定していた。しかし、いずれも海外渡航を前提とする調査であり、現下の新型コロナウィルス感染症による渡航制限が国内外に継続する状況においては、これらの国外での活動は全く行うことができなかった。そのため、古い地図にみられる地名と現在使われている地名の突合せや、古い地図に記載されていない地名の聞き取りなど、地名履歴の構築を前進させるための重要な情報はいまだに収集できていない。
本年度は昨年度収集した地図資料の整理ならびにこれらからの地名データの拾い出しと整理を主に行ってきた。また、地名データの構造化記述による整理について、適切と考えるツールやそのもとでのデータ記述の長期継続的な活用が可能であるかなどの技術的な検討を専門家との議論の機会を設けて行った。これらを踏まえて、本課題でめざすシステムの外形について設計を進めているところであり、現地調査において収集することを期待するデータについては、システム開発上は仮定のデータとして取り扱うことで対応しつつ、できるだけ早い機会にプロトタイプ開発に着手したい。既存資料にみえない地名の収集を課題ととらえて着手した本課題であり、現地調査を再開できる環境が整うことを希求するものである。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

国内外において新型コロナウィルス感染症による厳しい渡航制限が続く中、本課題での主要な研究活動である海外館における地図資料調査および聞き取りを中心とした現地調査を行う機会を得ることができていない。
特に本来は昨年度に計画していたタイにおける地名に関する聞き取り調査を延期して以降、この調査結果を加味した考察の材料を得ることができず、苦慮しているところである。

今後の研究の推進方策

現地調査、資料調査ともに国外での活動を前提にしている本課題において、現地へ向かうことを再開できる時期が見通せない中、初年度に入手できた資料を活用した研究活動を進める。調査再開に備えるとともに、調査研究の進め方の見直しも並行して考えなければならない切実な事態である。

次年度使用額が生じた理由

初年度に計画していたタイにおける現地調査を含め、本年度に計画していた本邦外での調査活動をすべて延期しなければならない状況であり、大幅な次年度使用額が生じている。
現地調査の再開に備えながら、地名履歴データシステムの構築に重点を置くなどの工夫により、有効に研究資金を活用したい。