研究課題/領域番号 |
19K12734
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
有光 威志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383840)
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研究分担者 |
石井 健太郎 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (10588742) [辞退]
開 一夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30323455) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知脳科学 / 近赤外分光法 / 小児科学 / 新生児医学 / 発達 |
研究実績の概要 |
早産児が高次脳機能障害を発症する原因として、新生児集中治療室や退院後における早産児を取り巻く環境が注目されているが、その機序は明らかでない。今年度は、これまでの研究成果を発展させ、近赤外分光法を用いた新生児の脳機能研究とともに、家族の関わり合いや社会支援の現状について検討した。 新生児の脳機能研究については、音の規則学習について解析を進めた。正期産児に対して規則学習を提示した後、学習後テスト試行を提示した。その結果、正期産児が音の規則学習により音の非隣接構造の違いを区別しており、特に左の前頭前野が関わっている可能性が示唆された。また、高次脳機能の評価に有用とされる安静時脳機能結合について調べた研究成果について論文発表をした。本研究成果から、在胎30週未満の早産児において前頭部と左側頭部の脳領域間結合の発達が緩徐であり、在胎30週までの脳の発育・成熟が出生後の高次脳機能の発達に重要であることを示唆するものと考えられた。また、新生児と家族の関わり合いや社会支援の現状に関する調査については、早産児の家族が運営に関わる全国46のネットワークを対象としたアンケート調査結果を解析した。家族会の設立目的としては、家族交流、情報提供、精神的支援、子育て・保育支援が挙げられた。今後、家族に必要なこととしては、経済支援、医療支援、公的支援、教育支援、就業支援が挙げられた。家族の社会的支援向上のために約90%の家族会が家族の全国ネットワークが有用だと回答した。これらの解析結果から、早産児の発達を促すための社会支援には改善の余地がある可能性が示唆された。 今後、早産児を取り巻く環境が新生児の生体信号や成長発達に与える影響の詳細を検討する。本研究が発展することで、親と環境が早産児の高次脳機能発達を促す機序を明らかにできる可能性がある。本研究の成果は、新生児の後障害率減少につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新生児集中治療室に入院した早産児の高次脳機能発達に関する解析が進み論文発表した。また、今年度明らかとなった近赤外分光法を用いた新生児の脳機能研究について来年度成果発表予定である。さらに、早産児と親の関わり合いや早産児の成長発達に影響を与える要因に関する調査も進んでいる。研究はおおむね順調に進んでおり、来年度さらに研究を発展させることが出来ると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進展しており、現在の研究を継続していくことが成果の発展へと結びつく。今後の研究計画としては、大きく3つの目標がある。1) 2021年度までに得られた早産児の高次脳機能発達を促す環境要因の調査解析を進めて成果発表すること。具体的には、全国の早産児の親を対象に、新生児集中治療室入院中および退院後における親の関わり合いや医療ケアおよび社会支援の現状について全国アンケートを行い成果を発表する。2) 2021年度までにデータが得られた近赤外分光法を用いた新生児の脳反応に関する知見を発展させ、1)で得られた親や環境要因が早産児の脳反応や行動指標とどのような関わり合いがあるか評価する。3) 上記から得られた知見をさらに分子・細胞生物学的知見へと発展させるため、in vivoの系での確立と応用を試みる。出生直後の脳組織がヒトの早産児に相当するマウス・ラットを早産児モデルとして、親や環境が早産児の高次脳機能障害に与える影響の機序を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度の研究を確実に遂行するためには、当初は交付額の人件費の支出が必要だと考えられた。しかし、現在の環境を最大限に生かすことで、研究遂行がおおむね順調に進んだため、不必要な人件費の支出は削減した。また、予定していた学会へ都合により参加できなかった。そして、効率的な物品調達を行った。そのため、次年度使用額が発生した。 (使用計画) 来年度は、研究をさらに進展させるため、人件費の支出が必要となってくる。また物品費などが当初の計画より増加する。次年度使用額は、近赤外分光法実験関連消耗品、ソフトウェア、試薬等を購入するために用いる。
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