• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

懐に入り込むための瞳孔反応を用いた親近性を促進させるペットロボットの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K12890
研究機関関西大学

研究代表者

瀬島 吉裕  関西大学, 総合情報学部, 准教授 (40584404)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードヒューマンロボットインタラクション / ヒューマンインタフェース / ノンバーバルコミュニケーション / 親近性 / 信頼感 / 愛着 / 信号処理
研究実績の概要

本研究では,「(1)親近性促進モデルの開発」,「(2)親しみやすい瞳孔反応ペットロボットのコミュニケーションデザイン」を主要テーマとして進めている.本年度は,まず(1)の親近性促進モデルを重点テーマとして研究開発を行った.
(1)では,瞳孔反応ペットロボットに対する親近性を促進させる仕組みとして,瞳孔そのものが対話者へ与える印象の相違に着目し,これまで開発してきた瞳孔反応CGキャラクタおよび瞳孔反応インタフェースを用いて印象評価を行った.具体的には,一般照明下での人間の瞳孔径を基準として,瞳孔の大きさを拡大/縮小させた8種類選定し,異なる瞳孔の大きさが与える印象についてSD法を用いて官能評価させた.実験協力者は男女24名であった.実験の結果,表現メディアにかかわらず「受容」「信頼」「好奇」の因子が抽出された.とくに,「受容」「信頼」の因子では,通常時と比較して約1.5倍をピークとすることが示された.また,「好奇」については,面積の増加に伴った単調増加であることが確認された.これらの知見から,親近性を促進させるための瞳孔の大きさに対する設計指針について検討できることが示された.さらに,親近性等の好ましさを評価するモデルとして,畳み込みニューラルネットワークに着目し,「外観的かわいい」に着目した瞳の大きさを判別するシステムを開発した.このシステムでは,人物画像を入力することで,瞳の大きさを定量的に評価できる.とくに,学習枚数を増加することで精度向上が期待される.
(2)では,これまで開発してきたアニマル型瞳孔反応ロボットを用いて評価実験を行った.実験の結果,通常時よりも2.0倍や2.5倍まで拡大した誇張表現が高い好印象効果を生み出すことを確認した.さらに,身体接触入力だけでなく,音声入力に基づく瞳孔反応の生成を可能とし,多様なインタラクションへと拡張した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,「(1)親近性促進モデルの開発」を主要なテーマとして位置付け,研究開発を行った.その成果として
1)人型CGキャラクタや瞳孔インタフェース等の表現メディアにかかわることなく「受容」「信頼」「好奇」の因子が抽出されることを示した.
2)「受容」「信頼」の因子は,好印象を与えるピークが存在することを示し,親近性促進のための設計指針を得た.
3)親近性等の好ましさを評価するモデルとして,畳み込みニューラルネットワークにより瞳の大きさを定量評価するシステムを開発した.
4)アニマル型瞳孔反応ロボットでは,誇張表現が高い好印象効果を生み出すことを確認した.
が得られた.これらのことから,おおむね順調に進展していると評価した.

今後の研究の推進方策

今後の研究計画として,基本的には当初の申請書通りに進める予定である.とくに,瞳孔の大きさが親近性に与えることから,瞳孔反応の各種パラメータ(大きさ・速度・タイミング等)を制御することで,親近性を促進させる/あえて矛盾を生起させてかかわりを強化するためのコミュニケーションデザインについて検討する予定である.さらに,これまで開発してきたプロトタイプシステムへ適用し,様々な実験により親近性促進モデルについて検証を進めていく.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により,参加予定であった学会が中止となったため差額が生じた.差額分については,次年度開催予定の学会参加費や論文投稿料へ充当する予定である.

備考

【受賞】
(1) 日本機械学会 設計工学・システム部門 奨励業績表彰,(2) 日本感性工学会 優秀発表賞,(3) 電子情報通信学会 中国支部連合大会奨励賞

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 視線コミュニケーションにおける瞳孔反応のミニマル・デザイン2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,渡辺富夫
    • 雑誌名

      日本設計工学会誌

      巻: 54 ページ: 723~728

  • [雑誌論文] An embodied communication system with avatar-shadow’s color expressions based on an interaction-activated communication model in voice communication2019

    • 著者名/発表者名
      SEJIMA Yoshihiro、ISHII Yutaka、WATANABE Tomio
    • 雑誌名

      Transactions of the JSME (in Japanese)

      巻: 85 ページ: 1~10

    • DOI

      https://doi.org/10.1299/transjsme.18-00074

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A pupil response system using hemispherical displays for enhancing affective conveyance2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Shoichi Egawa, Yoichiro Sato, Tomio Watanabe
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing

      巻: 13 ページ: JAMDSM0032

    • DOI

      https://doi.org/10.1299/jamdsm.2019jamdsm0032

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A body contact-driven pupil response pet-robot for enhancing familiarity2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Hiroki Kawamoto, Yoichiro Sato, Tomio Watanabe
    • 学会等名
      the 28th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] A study on the discrimination of eye size using a CNN for the evaluation in the appearance of kawaii2019

    • 著者名/発表者名
      Daichi Hasegawa, Yoshihiro Sejima, Yoichiro Sato
    • 学会等名
      International Conference on Design and Concurrent Engineering 2019 & Manufacturing Systems Conference 2019 (iDECON/MS2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of the speech-driven pupil response robot synchronized with burst-pause of utterance2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Yoichiro Sato, Tomio Watanabe
    • 学会等名
      International Conference on Design and Concurrent Engineering 2019 & Manufacturing Systems Conference 2019 (iDECON/MS2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] 人を惹き込む視線インタラクション・コミュニケーション技術2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕
    • 学会等名
      日本知能情報ファジィ学会 しなやかな行動の脳工学研究部会
    • 招待講演
  • [学会発表] 瞳孔反応インタフェースにおける瞳孔面積の違いが人の印象に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      川本宙輝,瀬島吉裕,佐藤洋一郎, 渡辺富夫
    • 学会等名
      ヒューマンインタフェース学会 第169回研究会
  • [学会発表] 親しみやすさを演出する音声駆動型瞳孔反応スマートスピーカーの開発2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,牧野和倫,佐藤洋一郎
    • 学会等名
      日本福祉工学会 第23回学術講演会
  • [学会発表] 畳み込みニューラルネットワークによる目の大きさ推定における分類学習と回帰学習の相違2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川大地,瀬島吉裕,佐藤洋一郎
    • 学会等名
      第70回 電気・情報関連学会 中国支部連合大会
  • [学会発表] 瞳孔反応ペットロボットにおける身体接触に同調した瞳孔拡大表現の効果2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,川本宙輝,佐藤洋一郎,渡辺富夫
    • 学会等名
      日本機械学会 第29回設計工学・システム部門講演会
  • [学会発表] 親近感向上のための身体接触駆動型瞳孔反応ペットロボットの評価2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,佐藤洋一郎,渡辺富夫
    • 学会等名
      日本機械学会 2019年度年次大会
  • [学会発表] 親近感向上のための身体接触に基づく瞳孔反応ペットロボットの開発2019

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,佐藤洋一郎,渡辺富夫
    • 学会等名
      日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会2019講演論文集
  • [備考] 関西大学総合情報学部 ヒューマンロボットインタラクション研究室

    • URL

      http://www2.kansai-u.ac.jp/hri/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi