研究課題/領域番号 |
19K12891
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
敦賀 健志 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (60337011)
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研究分担者 |
田中 敏明 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40248670)
加藤 士雄 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40760260)
野村 知広 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (90593492)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 滑り / 転倒予防 / 注意喚起 / IoT |
研究実績の概要 |
本研究ではヒトが「滑り」と感じる足部の動きを定量的に検出することで、滑りやすい冬季路面において転倒の危険性が高い場所を特定する。そして、その位置情報をIoTにより共有し、腕時計型情報端末経由でシステム利用者に注意喚起することで、転倒予防を図るシステムの構築を目指している。 本年度は、まず外乱刺激呈示システムによる「滑り」の知覚に関する実験環境の改善を行った。外乱刺激呈示システムとは、小型軽量の床反力計(荷重を計測する機器)にリニアサーボモータを取り付け、歩行路中に設置して被験者に歩行してもらい、被験者が床反力計を踏んだ瞬間に、床反力計を動かすことで擬似的な「滑り」を再現するシステムである。これを用いてヒトが「滑り」と感じる足部の動き(現状では、加速度と移動距離に注目)を定量的に検出する実験を行うが、ヒトが足を踏み出す際の姿勢の差異によって、計測結果に差が生じることが確認できている。そこで、可能な限り被験者の動作姿勢を規定するために、被験者の前方にモニターを用意し、刺激提示時はそこに表示した注視点に注目してもらうなどの改良を行った。実験環境は改善できたが、コロナ禍により被験者による実験が難しくなったことから、外乱刺激呈示システムを用いた実験を保留とし、代わりに他分野における転倒時における足部の滑りに関する文献を参考にして、転倒時の足部の挙動(加速度)を計測するユニットの製作を進めた。冬季路面とは異なるが、同様に転倒リスクの高い浴室の場合、転倒に至る滑りにおける足部の加速度はばらつきが大きいものの平均2[G]程度であるとの報告がある。また路面に接地する際の足部の傾きも転倒に関与するということがわかっている。以上のことから、慣性センサのスペックを検討し、小型マイコンで制御する計測ユニットの製作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、ヒトが「滑り」と感じる足部の動きの要因を明らかにし、「滑り」を検出する計測ユニットの製作と評価を行った上で、データ集約用データベースや情報提示用アプリの開発を行う予定であった。しかし、ヒトが「滑り」と感じる足部の動きの要因究明については、外乱刺激呈示システムの改良などを進めてきたが、予定していた被験者による実験が、コロナ禍により実施困難となったため、計画に遅れが生じている。 当初の計画からすると「遅れている」と判断せざるを得ないが、代替手段を用いて「滑り」を検出する計測ユニットの製作を進めている。具体的には、3軸の角度、角速度、加速度(±16G)を計測可能なセンサBWT901(WIT MOTION製)を採用し、これとワンボードマイコンのArduino Uno R3を用いて、モバイル計測ユニットとした。今後、被験者の足部に取り付けるアタッチメントを製作し、被験者を用いた実証実験を行うことで計測ユニットの有用性を検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方に関して、新型コロナウイルスの感染状況に注視し、感染予防に最大限の配慮をした上で、徐々に被験者による計測を実施していく予定である。また、先行してヒトの足部の動きを計測するユニットの製作を進めているので、計測ユニットの有用性を確認していく。さらに転倒危険エリア集約用データベース等の通信・管理システムの構築に関しては、被験者を用いない研究であることから、同時進行で進めることで、可能な限り研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2021年度に実施予定であった、被験者による計測が実施できなかったことから、被験者および実験補助員へ謝金の支払いが発生しなかった。また成果発表のための国内旅費も使用しなかったため次年度使用額が生じた。 (使用計画)新型コロナウイルスの感染予防に配慮をした上で、被験者による実験を徐々に進めて行く予定である。
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