研究課題/領域番号 |
19K13053
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
和田 崇 三重大学, 教育学部, 准教授 (10759624)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 比較文学 / 翻訳 / 国際交流 / プロレタリア / マルクス主義 / 社会主義 / ジョン・リード・クラブ / 千田是也 |
研究成果の概要 |
本研究では、アメリカの左翼雑誌New Massesを中心に日本プロレタリア文学関連記事を調査し、日本のプロレタリア文化団体の詳細な紹介や日本のプロレタリア詩が複数掲載されるなど、日米間のプロレタリア文学運動において具体的な交流があったことを確認した。また、戦前期ドイツにおける日本のプロレタリア文学の翻訳について、葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」、徳永直『太陽のない街』、小林園夫の詩2編の分析を通じて、それぞれの訳文の特徴や翻訳方法の意義について明らかにした。さらに、国際シンポジウムを開催して研究者間で意見交流をし、東ドイツにおける近代日本文学の翻訳受容研究という発展的課題を見出すことができた。
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自由記述の分野 |
日本近代文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義として、まず、アメリカの左翼メディアにおける日本プロレタリア文学の翻訳や紹介状況について、ある程度解明できたことが挙げられる。特に、日本のプロレタリア文化団体の成員が英訳したものがアメリカの雑誌に掲載されるなど、ドイツの事例とは異なる方法も見出せた。また、日本のプロレタリア文学作品のドイツ語訳の分析を通じ、日独間の左翼文学における自然主義の捉え方の相異など、文学史的成果もあげることができた。社会的意義としては、国家や巨大資本に依存しない民間有志による国際的な文化交流の一端を明らかにすることで、グローバル化した今日にもつながる国際連帯の方法や可能性を提示できたことが挙げられる。
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