今後の研究の推進方策 |
2022年に『ユリシーズ』は出版100周年を迎える。その記念論集のための論文を20年末に提出し、一次査読を通過することができた(22年2月刊行予定)。本研究の申請の段階では、今夏の長期休暇を利用して、アイルランドの国立図書館、UCD と TCD の大学図書館を訪れ、新聞については(Irish Times, Freeman's Journal, Irish Homestead, Daily Express)、雑誌については(Leader, Punch, Egoist, Dana, Little Review) の資料収集を、ジョイスがダブリンで暮らしていた時期(1882-1904)に絞って行う予定であったが、新型コロナ・ウィルスの世界的流行が続いている状況を考えると、21年度の実施は不可能と思われる。よって、21年度は上述の翻訳書や『ユリシーズ』論集のための論文の執筆に注力することとする。ただし、アイルランド文学に関わるオンライン学会(IASILやInternational James Joyce Foundation)に積極的に参加し、最新の研究動向をフォローしていきたい。 また、20年度より、日本ジェイムズ・ジョイス協会の有志によって実施されている『フィネガンズ・ウェイク』の研究会(隔月、オンライン)にも参加し始めた。ジョイスの主要4作品のうち、これまで筆者が分析してきた『ダブリナーズ』『若き日の芸術家の肖像』『ユリシーズ』に加え、最後にして最難関のこの作品を含めて、「亡霊のアイルランド」という本研究の主要テーマを総合的に分析し、今後の研究発表や論文に反映させていきたい。
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