研究課題
若手研究
本研究では、書物や印刷物など多種多様な古典籍に用いられている紙を調査する料紙観察という方法について、これまでに使用されている高額かつ設置型の高精度顕微鏡だけではなく、低価格で入手容易かつ携行可能な新規機器での調査を試行した。新たな機器で得られたデータを検討するという方法で、さまざまな場面で活用可能な分析方法を新たに構築し、今後の研究に活用しうる汎用的な紙質データ構築の方向性を模索した。
書誌学
本研究により、紙の表面を拡大することで紙の原料を非破壊で調査する料紙観察という手法は、高額かつ移動不可能な高精度光学顕微鏡だけではなく、金額的に入手が容易かつ携行可能な機器でも目的に応じた調査が可能であることがわかった。調査資料の保管状況や資料形状に適した適応力と機動力のある調査手法で、調査分析の範囲が拡大できる意義は大きい。本研究において構築された方法は既にアメリカのワシントン大学図書館で活用されており、社会的貢献を果たしている。