研究課題/領域番号 |
19K13156
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩崎 加奈絵 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (30828827)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ハワイ語電子データ / 方向詞 |
研究実績の概要 |
本研究は、危機言語のひとつであるハワイ語で使用される、「方向詞」の特徴を明らかにすることを目的としたものである。具体的には、動詞や行為名詞の表す動作の進展する方向を、何らかの基準点にもとづいてマークする機能をもつこの方向詞が、実際何を基準として方向を判断していると言えるのかについて明らかにすることを目的としている。 また、本研究の特徴の一つは文献資料にもとづいて行われる危機言語調査であるという点である。そのため、1年目である本年度においては、分析・考察に先立って必要な、使用文献の選定とそれらを電子データとして取り扱えるよう入力する作業を研究実施計画の中心とした。 具体的には、計画実施計画にある「様々な著者による資料を見る」という観点から、新たなハワイ語文献を選定・入手し、既存のデータに含まれていない著者による、比較的新しい年代に発行された短編 "Aotearoa: He 'Ohana Ko Laila"(Kauanoe Kamana; 2009)を加えた。その他電子化をまつ文献も年度末には揃い、順次入力作業を続けている。また、電子化については今後それ自体を成果として公表または研究コミュニティに還元する可能性を考え、形式や付加すべき情報などについての検討を進めた。 補助的な過程としては、2年目以降の分析・考察に向けた準備段階として、文脈情報に着目した研究手法の先行研究について、特にハワイ語と同系統の言語であるオーストロネシアにおける情報構造に関する知見を深めることにも注力した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一部入手しづらい文献があり、選定のし直しなどにより入手が遅れたものがあったため、入力作業を実行できない時期があったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
入手が遅れた文献は初年度末には概ね揃ったため、随時使用可能な文献は追加するものの、作業自体は行える状況にある。 計画段階で、2年目においても電子データの作成を行う予定であったため、基本的には入力作業を引き続き行っていくものであるが、量的データの収集において一定の成果を出すには2年目後半から終盤になるものと考えられる。しかし、今後本データが本研究の主たるデータとして、またその先にも使用される可能性を考慮し、正書法の問題などを考慮しながら拙速にならないデータの作成を目指す。 本研究の特色である「文脈情報」に着目したテキスト分析自体は、手法上の工夫によりこうした作業と並行して行えるものと考えられるため、全面的なシフトとは行かないにしても、ある程度両立して進めていくことを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
文献の入手確定までの期間が想定よりかかったため、期間内に検収を受けられず、その分の文献費用が含まれていないため。また、秋の学会費用を含めていたが、体調不良により参加できなかったため。 文献については年度を跨いだことによるずれであるため、基本的に使用計画に変更を加えることはない。学会参加費用に関しては、本年度新たに、申請時に予定していなかった研究発表の機会を求めたいと考えている(ただし時勢にかんがみ、旅費に関しては見通しの立たない部分も大きいこと)。
|