研究課題/領域番号 |
19K13156
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 (2020-2022) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
岩崎 加奈絵 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD) (30828827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ハワイ語 / 空間表現 / 方向詞 / 方向表現 / 移動表現 / 言語学 / 文献研究 / 文献資料 / 文法研究 / ハワイ語電子データ / 機能語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、危機言語のひとつであるハワイ語における、空間に関する表現の特徴を明らかにすることを目的とする。より具体的には、動作をあらわす語と共に現れてその動作の向きを示す語である「方向詞」を使用するための規則を明らかにすることを目指す。 方向詞は「話者から離れて」「話者に向かって」などの意味を示すといわれるが、物語文のように語り手(話者)がその場に存在しない場合、誰・何が基準点となるのかが不明瞭である。テキスト資料を用い、詳細に文脈情報を追う研究により、この規則を明らかにすることで、ハワイ語の学習と保全に貢献するほか、人間が空間をどのように認知しているかについても新しい知見を得ることを企図する。
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研究成果の概要 |
本事業はハワイ語物語文における空間表現、特に「方向詞」の使用について議論を行った。その結果、以下の点を明らかにした。1)方向判断の「基準となる点」は、人・有生名詞が主だが、モノ・場所にも置かれ、特に家・故郷等など、ある種の「ホーム」にも置かれやすい。2)場面に主人公がいれば基準点となりやすい。ただし、主人公がいてもそれ以外の人やモノに一時的に移ることも多く、その動機になる要素は、現時点では不明である。3)ハワイ語では、(例えば北マルケサス語のような)他のポリネシアの言語の例と異なり、語り手と語りとの間の距離感は、方向詞の使用頻度に反映されないという仮説が立てられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ハワイ語研究においては、「語り手」「語り手の『語り』に対するメタ的な認識」といった点に着目することになり、これらは今後方向詞以外の文法要素の分析にも適用可能性がある。 また、各資料での方向詞やその視点の位置の変遷について、実際のテキストでどのような数的分布・変遷を示しているのか、具体的データを明示した。ある要素がどのような頻度で、どのような場合に現れるか、という点は、これまでハワイ語に精通した者以外には見えにくい部分であった。これらを数値化・可視化することで、ハワイ語を専門としない言語研究者や、ハワイ語について先例に学びたいと考える中級以上のハワイ語学習者に、全体像を掴みやすいデータを提供した。
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