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2019 年度 実施状況報告書

青森県津軽方言の文末イントネーションの記述的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13215
研究機関東京外国語大学

研究代表者

大槻 知世  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30805205)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード青森県津軽方言 / 文末イントネーション / 疑問文 / 下降調 / 自然下降
研究実績の概要

本研究は、青森県西部の津軽方言における疑問文を中心とした文末イントネーションの質的特徴の解明を目的としている。
標準語の場合、疑問詞疑問文「誰と京都へ行った?」もYes/No疑問文「花子と京都へ行った?」も、文末イントネーションは上昇調である。それに対して津軽方言では、いずれの疑問文も「下降調」の文末イントネーションをとる。なお、平叙文も、標準語と同様に、自然下降(調音器官の生理的要因によって声の高さが徐々に下がること)をとる。津軽方言を含む東北方言において、疑問文が「下降調」で発音されることは、すでに先行研究で知られていたが、自然下降との違い、つまり、話者がどのように疑問文と平叙文を聞き分けているのかについては、未解明だった。
特に津軽方言の場合、疑問を表す文末詞(終助詞)は義務的ではない。そのため、Yes/No疑問文「花子と京都へ行った?」と平叙文「花子と京都へ行った。」とは形態的・統語的に同じ形式となる。加えて、いずれも下降のイントネーションをとるため、音声的にも弁別が難しい。しかし、話者は形態的・統語的な手がかりがなくても区別していることがうかがえる。
予備的段階において、国立国語研究所の日本語諸方言コーパス(COJADS)収録の青森県弘前市方言(津軽方言)の音声(女性2名、男性3名、計26トークン)のピッチを計測し、正規化してt検定にかけた。その結果、ピッチの下がり幅の違いが弁別的特徴であることが分かった。Yes/No疑問文の下がり幅が最も大きく、次に疑問詞疑問文の下がり幅が大きく、平叙文の下がり幅は最も小さい。このことは本研究の代表者によって初めて指摘された。
本研究では、追究を深め、ピッチの下降がどこから始まるのか、といった質的特徴の究明を目指している。しかし今年度は研究計画に比べて遅れており、隣地調査が実施できず、疑問文の音声を採取できていない状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

質的特徴の究明のために、より多くの音声データを集めること計画していたが、今年度は隣地調査が実施できず、疑問文の音声を録音することができていないため。

今後の研究の推進方策

2年次において隣地調査を増やし、初年次の音声データ量の不足を補うことを予定していた。しかし、新型コロナウイルス禍にある現状に鑑み、隣地調査は今しばらく保留せざるを得ない。方言の隣地調査は話者との信頼関係が必要であるため、この状況下では話者の懸念をおして調査することは憚られる。
方針を変え、既存の研究成果である音声データを活用する。計画していた調査の文に比べて、コントロールできないといった不都合はあるが、高年層の同一の話者のまとまった量の発話を得る方法としては、現状では最善の策であると考える。COJADSを始め、杉藤美代子(1994)『日本語音声の研究1』、杉藤(1996)『同3』や、付随する研究成果のCD、DVDなど、日本語諸方言の多地点調査によって得られた大規模データを活用する。文単位ではなく、単語発話で疑問を表す場合の発話などを収録しているものもあり、本研究で必要とする文タイプとデータの多様性は担保されるものと考えている。

次年度使用額が生じた理由

都合により隣地調査ができず、年度後半に至り新型コロナウイルス禍で隣地調査が実現不可能となったことから、旅費を始め当初計画していた支出の予定が無くなったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Developing linguistic studies with the “Corpus of Japanese Dialects”2019

    • 著者名/発表者名
      大槻知世, 上村健太郎, サルバトーレ・カルリノ, 佐藤久美子, 中澤光平, 木部暢子
    • 学会等名
      Japanese Studies Association of Australia Biennial Conference (JSAA 2019)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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