研究課題/領域番号 |
19K13277
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小川 典子 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (30822746)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 継承語教育 / 中国語学習者 / アイデンティティ / ライフストーリー / 大学外国語教育 |
研究実績の概要 |
大学に在籍する学生の多様化が進む中、ニーズの異なる学習者への適切な言語教育のあり方を考えることは焦眉の急である。本研究では、中国にルーツを持つ継承中国語学習者のアイデンティティと言語能力が、大学入学後にどのように変化していくのか、縦断的調査を通して分析する。この調査より、大学の外国語教育が適切に作用しているのか、外国ルーツの学生にどのような影響を与えているのかを実証的に解明する。そして教育の現場で継承語学習者にはどのようなアプローチが必要であるのかを検討し、大学における継承語教育導入のための基礎資料を提供することを最終的な目的としている。 調査は、関西圏の国立大学1校と私立大学1校から各校5名程度、計10名程度の中国ルーツの継承語学習者を抽出し、縦断調査を行っていく計画であった。しかし調査を行う国立大学の中国語専攻では、2019年度入学者の中に継承中国語学習者が1名しかいなかったため、調査人数を減らし、国立大学1名と私立大学5名の計6名を調査対象者としている。 2019年度は計6名の調査対象者全員に(a)ライフストーリー・インタビュー(b)言語能力調査をそれぞれ前期と後期の2回ずつ実施することができた。また(b)言語能力調査に関しては、当初の予定では言語テストの実施のみを予定していたが、これに加えて「CEFR自己評価表」を用いた調査も実施することができた。 2019年度の調査結果は、研究会および論文において研究成果として発表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査人数は当初の計画より減ったものの、(a)ライフストーリー・インタビュー(b)言語能力調査ともにほぼ予定通りに実施することができている。また実施済のインタビュー調査の音声データの文字化作業もほぼ完了しており、テスト結果の統計等、分析作業も現在並行して行っている。現段階では以下の分析結果を得ることができている。 (1)調査協力者のバックグラウンドと言語環境(2)大学入学時の言語能力(3)大学の入学経路と中国語の履修状況(4)中国ルーツの学生が中国語を学ぶ理由(5)継承中国語学習者は自己のルーツをどのようにとらえているのか。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は縦断調査を予定しており、次年度以降も、引き続き同じ調査協力者への追跡調査を実施する予定である。2020年度は新型肺炎の影響により、インタビュー調査などが2019年度同様に実施できない可能性が懸念されるが、対面で会うことが難しい場合にはskypeやzoomなどを利用することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型肺炎の影響で、業務を依頼している学生アルバイトに支払う予定であった人件費が次年度に持ち越される。
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