絵馬は、馬図・社寺参詣図・武者絵・船絵馬・算額などのように社寺に祈願・報謝のために奉納されるのが一般的であり、山岳参詣地において様々なものがみられるが、江戸時代の相模大山寺へ隅田川で水垢離を済ませ木太刀を奉納する固有の習俗が大流行していた。この木太刀に関しては、沼野嘉彦(1979)や吉岡清司(1992)らの研究があるが、これらは建久3年の北条政子の安産祈願に依ったものに過ぎない。本研究は、この習俗の発生起源と現存木太刀の調査・整理を明らかにし、木太刀奉納の拡大には、御師の媒介や御師の行動が鍵となるとの仮説に立つ。
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