研究課題/領域番号 |
19K13386
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
紫垣 聡 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 助教 (90712745)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 官房学 / 人口思想 / 人口統計 / ズュースミルヒ / ポリツァイ / 政治と科学 |
研究成果の概要 |
本研究は18世紀ドイツにおいて成立した官房学に関して、その枢要な論点をなした人口論に着目し、官房学が国家統治の学として体系化される知的背景を調査した。ヨハン・ペーター・ズュースミルヒや重要な官房学者のテクスト群の分析を通して、従来の重商主義的な財政論ではなく、自然科学の知見に立脚した官房学の議論を明らかにした。そこには人口動態の法則性のような自然の秩序にもとづく統治の構想、いわば「計る統治」が官房学を特徴づける理念として表れていた。この成果から、官房学をドイツに閉じられた学問ではなく、18世紀ヨーロッパにおけるポリティカル・エコノミーの成立という枠組みにおいて捉える視点を提示した。
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自由記述の分野 |
西洋史学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はこれまで重商主義的な財政政策を中心に論じられていた官房学の理解を広げ、合理的な思考と自然科学的アプローチを重視する総合的な統治の学として特徴づけた。これは18世紀後半のヨーロッパで広く発展していた政治経済学に連なるものであり、官房学を国際的に論じる視点を提供する。 ズュースミルヒによって開拓された人口統計の理論と実践は、数量的なデータやその規則性を政策決定の根拠とする「計る統治」のコンセプトを官房学にもたらした。この統治論の特徴はこの時期のポリティカル・エコノミーの研究に貢献するだけでなく、現代における政治・社会と科学的知識との関係についての議論にも歴史的知見を加えることができる。
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