本研究で対象とした「外来系大刀」のような、朝鮮半島に系譜をもつとされる資料は、従来、いわゆる「外来」の資料としてそれ自体の系譜を深く追究しないまま、対外的な交渉に関わった人物であることを示すもの、あるいは渡来人ないし渡来系の人々がいた証左とされ、日本国内で完結した評価に留まっていた。本研究では、具体的に朝鮮半島のどの地域と技術的関係性を指摘できるのか、さらには、先入観的に「舶載品」とされてきた資料群は本当に列島内で製作された可能性はないのか、といった点を朝鮮半島での出土例を踏まえて改めて洗い直したことで、より客観性の高い交流史像を描出した点に大きな意義がある。
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