研究課題
若手研究
博物館では、収蔵庫や収納箱などに木材が用いられる。これらの木材から放散する酢酸やギ酸が、収蔵する資料に金属腐食などの有害な影響を及ぼすために深刻な問題となっている。本研究では、博物館で木材を安全に使用するために試験体とした国産のナラ、キリ、ヒノキ、スギからの酢酸とギ酸の放散挙動を明らかにした。放散試験で得た各試験体からの酢酸とギ酸の放散速度を用いて数値解析をおこない、放散挙動を考慮した木材選定指標を提案した。
保存科学
本研究では、試験体とした木材からの酢酸とギ酸の放散挙動を把握し、数値解析によって選定指標を得られることを提案した。また、酢酸やギ酸が資料に及ぼす劣化のリスクを低減するための科学的根拠を示した。これらは、博物館で用いる木材の選択を最適化するアプローチであり、博物館環境の改善に対して意義あるものである。