研究課題
若手研究
文化財を管理する博物館等においては、総合的有害生物管理(IPM)の考え方に基づき、文化財の害虫被害を未然に防ぐことが求められる。しかし、現段階のIPMでは、害虫の発生数の実数を把握したり、害虫発生に伴うリスクを予測したりすることが十分にできない状況にある。本研究では、科学的根拠に基づいた、より説得力・実効性のあるIPM体制を提案するための基礎的研究として、木材・竹材や紙類などを食害する文化財害虫の生活史や食害の特徴を明らかにした。
博物館科学、木材保存学、応用昆虫学
文化財の活用が推し進められる中で、博物館等の間における収蔵品の貸し借りがますます盛んになると考えられる。そのため、あらゆる博物館等がIPM体制を整備し、害虫被害の予防に取り組むことがこれまで以上に重要となっている。本研究で得られた文化財害虫に関する基礎的知見は、文化財害虫による被害の重大さを博物館・文化財関係者に周知したり、現場において害虫個体数を許容レベル以下に抑えられているかを判断したりするための根拠となることが期待できる。