研究課題/領域番号 |
19K13443
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大元 鈴子 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70715036)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水産認証制度 / エコラベル / 持続可能性 / 流通 / 食の主権 |
研究実績の概要 |
水産物の持続可能性のための認証制度とエコラベルが国際的に導入されてから20年が経つ。この間に、企業や環境NGOにとっての認証制度は「他社との差別化」を目的としたものから「前競争的協働のツール」へと変化してきた。本研究は、水産認証制度とそのエコラベルが、国際的な水産資源管理ガバナンスにおいて、今後どのような役割を担うか、また、一方で小規模生産者やローカル認証と呼ばれるより狭い範囲での取り組みとの接合により重層的な資源管理に発展する可能性を検討している。 2021年度においては、Marine stewardship CouncilによるMSC認証とAquaculture Stewardship Councilによる養殖水産物に対するASC認証の国内外の動向を追いかけつつ、小規模生産者やローカル認証に調査の重点を置き、水産物の地域化の取り組みであるCSF(Community Supported Fisheries:地域支援型漁業;前払い会員制で、週ごとに漁業から直接水産物を受け取る)とスローフィッシュ(水産物のスローフード運動)に関する資料収集、また、国内では特に、学校給食や中規模の外食産業における水産物の利用状況についての調査を行った。さらに、水産物におけるローカルの表現や価値の流通など、農作物との比較を行うことにより、両者の共通点や水産物の特殊性を明らかにする検討を継続している。 また、本来であれば研究最終年度であったことから、書籍での研究知見の貢献や(編集作業中)英文論文投稿(査読中)を行い、成果物の発信に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、海外への渡航ができなかったことにより、研究計画に若干の遅れがでているが、渡航に支障が出る場合においても研究を遂行できる体制を整えることに注力し、次年度の調査を順調に進める計画をたてることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、できる限り海外での調査を従来の計画に近づけ、また、国内における新たな研究課題設定を行い、水産物の流通に関して、研究計画時に想定した成果物の公表に努める。具体的には、米国アラスカ州における先住民によるサケ漁業関する調査を夏頃実施し、水産物流通、持続可能性認証、また、新たな視点とコロナウイルス感染症により浮彫になった食の主権を多角的に検証していく計画である。国内においては、学校給食における水産物利用に関する調査を進め、水産物における中規模流通についての知見を深めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による海外渡航を中止せざるを得ない状況から、より有意義な研究費利用を行うために、次年度使用額を生じている。 次年度の研究計画として、米国(ワシントン州~アラスカ州)におけるサケ漁業とその流通に関する調査のための旅費等を計画している。また、研究成果発表のための、英文校閲や資料の購入に使用する予定である。
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