研究課題/領域番号 |
19K13452
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研究機関 | 京都経済短期大学 |
研究代表者 |
菅野 拓 京都経済短期大学, 経営情報学科, 講師 (10736193)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | サードセクター / 協働 / 制度 / 社会ネットワーク / 文化翻訳 / NPO / ルール / 規範 |
研究実績の概要 |
コロナ禍によって、様々な地域を訪問しての調査は著しく制限されたものの、複数のNPOなどと連携しながら、東日本大震災被災地の4つの市においてマルチセクターの関係を社会ネットワークから読み解く調査を実施し、一定の分析をおこなった。なお、調査・分析のまとめは以下のホームページに掲載している(https://www.etic.or.jp/recoveryleaders/socialnetwork/)。 上記の調査から以下が確認できた。東日本大震災がつながり形成に大きく影響し、震災直後のつながりが大きな割合を占めることが一般的だが地域差もある。原発事故の影響からか南相馬市は震災直後のつながりが少なく、その後の取り組みを通じてつながりを形成している。4地域を統合した社会ネットワーク、および、いずれの地域の社会ネットワークも、ハブが存在するスケールフリー・ネットワークであり、地域内外にネットワークを張り巡らせている。ただし、セクターの構成比や、ハブのつながりの保有量(指名を受けた人数)、ハブの存在しやすさに地域差があることもわかる。ハブとなりやすいのはサードセクターや複数セクター兼務のキーパーソンである。さらに、サードセクター専業者や兼務者が地域間をつなぐ役割を果たしている。ただし、市場セクターや政治・行政セクターにも、ハブの役割を担うキーパーソンが存在し、単純にセクターのみでハブが存在することを説明できない。ハブとなる割合が最も多かったのは複数セクターを兼務するキーパーソンであった。彼らは、それぞれのセクター特有のルールや規範を理解し、異文化を翻訳できる立ち位置にいる。このことから、マルチセクター協調を把握する際の鍵のひとつは文化の翻訳能力であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計的研究に関しては、オンラインインタビューなどを利用して実査が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
大まかなデータを取得できたため、それを用い、マルチセクター協調のメカニズムを導出・彫琢する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、旅費を中心として予定通りの執行ができなかった。オンラインでの調査や分析を中心にすえ、今後の研究をすすめる予定である。
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