米国において懲罰的損害賠償および、それと関連してしばしば触れられる「利益吐き出し」に関する人々の意識について調査するため、インターネット調査によるサーベイ実験を2022年に行った。これは日本において、同様に懲罰的損害賠償および「利益吐き出し」に関する人々の意識について調査するために2019年に実施したインターネット調査によるサーベイ実験の回答と比較するために行ったものである。その際に使用したシナリオは、一人暮らしの高齢者に対するリフォーム業者の詐欺の事例である。これは、シナリオ中に記載しているのが業者の利益額なのか高齢者の被害額なのかという点や、業者の資産の額、業者がこれまでに行政処分など何らかの罰を受けていたかどうかといった点を変化させた調査票を回答者にランダムで配って調査票ごとに回答がどのように異なるかを分析するものである。また、日本での調査から時間が経過しておりその間にコロナ禍も生じていたことから、日本において回答が変化している可能性も考えられたため、同内容のインターネット調査によるサーベイ実験を再び2022年に日本でも実施した。また、本年が最終年度であるため、これまでの調査の分析で使用した手法的な側面での知見を活かして、質的比較分析(森 大輔「質的比較分析」『数理社会学事典』丸善出版(2022年)600-605頁.)やサーベイ実験などの社会調査の手法に関して記述した論考(森 大輔「法社会学における『方法』」『スタンダード法社会学』北大路書房(2022年)21-30頁.)を発表した。
|