研究課題/領域番号 |
19K13496
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
堀澤 明生 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (90647439)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダブル・トラック / デュアル・エンフォースメント / 補充性 |
研究実績の概要 |
本年度においては、日本法の各参照領域ーー環境法、競争法、消費者法ーーにおける、差止請求権と行政法上のエンフォースメントへの介入的な義務付け訴訟との関係に関する論稿を発表した。 この論考は、こうした両立関係について憲法上、一方の訴権について制限を施す可能性を認める議論に対して応答するものであるとともに、従来よりこのテーマを先導してきた民事訴訟法学者とともに、参照領域の実体法ごとに問題状況が異なることを議論するためのものである。 従来の通説的な議論における両請求権の併立関係は、民事差止訴訟と抗告訴訟との実体法上の無関係性を前提とするものであり、こうした議論が典型的に当てはまるものは環境法領域におけるものであって、差止請求権の本案勝訴要件において行政実体法において違反行為とされるものと同じものを対象とする、競争法や消費者法においてはこのような関係が必ずしも成り立たないことを指摘した。 その上で、これらの訴権の併存が望ましいかどうかは、それぞれの請求権がどのような構造で審理されるかや、救済手段などの具体的判断に依存するものであり、この観点からは、適格消費者団体の差止請求が主務大臣による排除措置命令との関係でもっとも同質性が高いこと、こうした議論は義務付け訴訟における補充性要件において検討するのが比較的望ましいこと、できれば立法的な整理が必要であると述べた。 本来であれば、比較法をもっと進めるべきところ、まだコロナにより渡航が難しく、日本法の分析にとどまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、比較法をもっと進めるべきところ、まだコロナにより渡航が難しく、日本法の分析にとどまった。本年度も渡航が難しい場合には、テクストで集められる範囲で発表するつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた渡航はやや困難であるとの見込みをしている。 このため、前半期で収集するべき文献をあらかた集めて、本研究の比較法上の成果をひとまず発表することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
渡航が難しい状況が依然として続いたためであるが、本年度も困難であると予想されるため、別の用途での利用を考えている。具体的には、オンラインデータベースの個人契約、収集する本の範囲の拡大、電子機器による情報収集の効率化である。
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