アメリカに各州における労災補償法は、使用者に労災補償支払義務が発生する場合には、被用者からの不法行為に基づく損害賠償請求を免れるという排他的救済の仕組みを採用している。①排他的救済は無過失責任を負う使用者を「保護」する仕組みであること、②この排他的救済制度の存在により、不法行為に基づく多額の損害賠償責任を負わないように、使用者が積極的に労災補償の適用を求め、逆に被用者が自らの労働者性を否定するなど、通常の労働法適用とは逆の現象が生じていることが明らかになった。また、現代的課題として③排他的救済の新たな課題として、職業性疾病への対応や雇用差別禁止法との調整があることが判明した。
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