フランス会社法には、日本会社法429条と同様に、会社役員が第三者に対して直接損害賠償責任を負うことを定めた規定が存在する(L225-251)。しかしながら、破毀院(フランス最高裁)の「切り離されたフォート」という判例法理によって、同条文に基づく損害賠償責任が認められる場面は相当程度に制約されている。さらに会社が破綻した場合には、判例法理による請求権併合禁止原則によって、会社役員に対する対第三者責任追及は原則として禁止される。 会社経営に伴う第三者への賠償責任を会社経営者に認めた条文を設けていながら、日仏ではその運用のあり方に大きな差が生じているといえる。
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