2019年に成立した「会社法の一部を改正する法律」により、会社は、一定の要件を満たす取締役に対してしか補償することができなくなった。このような要件は、補償が認められる取締役の帰責性の上限を示唆しているものとして捉えられるにもかかわらず、その解釈論が未だ十分に進められていないので、アメリカのデラウェア州法やイギリス法をもとに、430条の2にいう会社補償の適切な範囲に関する考え方を提示した本研究は、その議論の活発化に資することができ、学術的意義を有する。同時に、会社補償といわゆるside Bカバーの間に密接な関係があるので、本研究は、保険実務の進化にも資することができ、社会的意義を有する。
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