研究課題/領域番号 |
19K13590
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湯川 拓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80728775)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クーデタ / 選挙監視 / 体制変動 / 正統性 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトの4年目に当たる2022年度は、本来であれば最終年度に当たる年であったが、コロナ禍による遅滞を踏まえプロジェクトの期限は一年後ろ倒しした。それでも、プロジェクト後半に当たるため、これまで進めていたリサーチ群を次々とペーパーへとまとめ、順次投稿へと進むことができた。一本は査読付き学術雑誌『Democratization』にてアクセプトされ、他にも四本が査読中になっている。総じて、アウトプットという面において順調に進展した一年であった。 具体的な研究内容としては、「体制変動をどのように正当化するか」という本研究プロジェクトの核をなす問題設定に正面から応えるものとして、当事者がその体制変動をどのようにフレーミングしたか(呼んだか)という点についてのデータセットを構築し、定量的な分析を行ったものが、上記の『Democratization』の論文である。この研究は、体制変動の当事者がその政変をどのようにして正当化、あるいは非正当化するのかを実証的に示したという新規性がある。 その他、選挙監視レポートについてのテキスト分析を行うことで監視の基準が時系列的にどのように変化してきたのかを実証的に示す研究や、クーデタに対する国内的・国際的反対運動の規定要因についての分析、独裁者の亡命後の政治的活動についての定量的研究、なども行い、それらが現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集や基本となる理論枠組みの構築は既に終わっており、次々にそれらを用いた論文を執筆し投稿するところまで達している。本プロジェクトの開始年に限っても既に査読付きの海外ジャーナルに5本、掲載あるいは掲載許諾の状況にあり、現時点での成果としても順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まだ形になっていないリサーチが複数あるために、それらを形にして学会報告を行うことと、査読付き学術雑誌に投稿していくことが今後の基本的な作業となる。その一環として、海外でのインタビューも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの4年間の間に、本来ならば海外での資料収集やインタビュー、あるいは学会での報告を行うはずであったが、コロナ禍によりそれらが後ろ倒しにならざるを得なかった。その影響を踏まえ、研究遂行期間を一念厭離徴したために、次年度使用額が発生した。
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