研究課題/領域番号 |
19K13598
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新川 匠郎 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (60802486)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 連立研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、西欧と中東欧諸国における大連立の各種成立パターンを検討することで議会制民主主義が抱える現在的な問題に光を当てることである。本年度は政党間交渉から連立政権発足に至るまでの試験的な分析を行っている。先行研究においては連立の各種成立パターンに比べて、その成立過程に関する理論的な考察が相対的に少なかった。そのため、大連立の各種成立パターンの内実を明らかにする上で、連立交渉の過程を分析の中に組み込むことは、従来の先行研究に新しい知見をもたらすと考えられる。そこで本年度はドイツにおいて2021年に連邦議会選挙後に行われた組閣交渉から連立政権発足に至る過程について試験的な分析を行っている。そこではドイツの制度設計である連邦制および二院制に見られる特徴が政権成立の過程において前提となっていたことを確認している。その一方で、これまでの連邦レベルでの政党間競合の特徴、そして選挙を通じた政党の議会勢力比および各種政策的主張の特徴が、組閣への直接的な影響として無視できないことも確認している。特に政策的主張については、経済的な左右の軸、社会文化的な軸に加えて、EU・グローバル化に対する態度についても政党間の連立を考える上で重要ではないかという仮説を導いている。ここで得られた分析結果は、試験的であるものの、大連立の成立経緯の多様さについて比較分析を通じて解き明かしていく上で重要なものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初はドイツ・ベルリンを拠点とした在外研究を計画しており、その際に各種調査や専門家との意見交換も行う予定であった。しかし昨年度に続いて今年度も、在外研究が不可能であったため、進捗状況は当初の予定よりも遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、当初の計画通りデータ分析のまとめに注力する。その際には西欧と中東欧における大連立の各種成立パターンについて検討していく。ただし予定された欧州における在外調査も現状では計画することが困難である。そのため分析の過程において不足している情報の補完、資料やデータの追加収集の方法についてはオンラインでの代替的な手段で充当する。また計画書に記載されている国内外の学会参加や、研究者を招聘したワークショップのオーガナイズについても、オンラインを通じた代替的な手段を講じる。
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次年度使用額が生じた理由 |
在外研究ができなかったことに伴い次年度使用額が生じている。2021年度に予定された欧州における在外調査も現状では計画することが困難であることから、翌年度分として請求した助成金と合わせて、オンラインでの情報を集めるために用いることが予定される。
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