研究課題
若手研究
本研究は、従来別個に分析されてきた大量破壊兵器(核兵器・生物兵器・化学兵器)の拡散どうしの関係性を理論的・実証的に検討するものである。本プロジェクトでは特に、核兵器という要素が生物・化学兵器の拡散にもたらす影響に焦点を当て検討した。研究の結果、核保有国にとって、生物兵器は核兵器と類似の戦略レベルの兵器であるが軍事的有用性の面でより劣った「余剰」な兵器として見なされる反面、化学兵器は核兵器と異なる柔軟な有用性が認められるのだ、という知見が得られた。
国際関係論
上記知見のポイントは、これまで切り離されて議論される傾向にあった核兵器・生物兵器・化学兵器を結びつける視点を提示したことである。たとえば、生物兵器と化学兵器の政治的な意味合いの違いが、上記のように「核兵器との関係性」いう補助線を引くことで明確化される。このような学術的意義に加えて、大量破壊兵器の軍縮不拡散措置について解釈する際に、それが他の大量破壊兵器にどのような影響をもたらすかという点も加味した兵器横断的な視点を持つ重要性を提示したという点で社会的・政策的意義も大きい。