日本の東日本大震災が取引ネットワークに与えた影響の分析を試みたが,念頭に置いていたような労働者への負の影響は見られず,むしろ日本の労働市場はこのような大きなショックにも頑健でありそうだという示唆を得た.そこで視点を変え,このようなネットワーク構造やクロスセクションの情報を含むマクロモデルの構築に取り組んだ.このモデルによって,時点を通じた配分の問題だけではなく,同時点の配分の問題も同時に分析することが可能になった.この枠組みを利用して,(1)応用ミクロ経済学の枠組みをマクロ経済学に埋め込めるかを分析,(2)複数財,複数資本があるような成長理論モデルを構築し,世界経済の停滞への応用を試みた.
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