研究実績の概要 |
本研究の目的は,一般化最小二乗法(Generalized Least Squares; GLS)に基づいた時変多変量回帰モデルを構築し,Fama and French (1993, 2015, Journal of Financial Economics) で提案された2つのマルチファクターモデルに適用することで,国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造について解明することである.今年度は,前年度までに構築したGLS推定量に基づいた時変多変量回帰モデルおよび,Kenneth R. French教授(ダートマス大学)のホームページから取得・整理した日米のデータを用いて,Fama and French (1993, 2015, Journal of Financial Economics) で提案された2つのマルチファクターモデルにおける各パラメータの推定を実施した.推定された時変パラメータについて日米間で国際比較を実施した結果,(1)日米ともに,Fama and French (1993, 2015, Journal of Financial Economics) で提案された2つのマルチファクターモデルの各パラメータは時間を通じて変動している.(2) 残差ブートストラップ法を用いて実施した統計的推論の結果, Fama and French (1993, 2015, Journal of Financial Economics) で提案された2つのマルチファクターモデルの日本における有効性は,米国における有効性と比較して通時的に低い可能性が高い,ということが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」でも述べたように,実証的な側面からは,前年度までに構築したGLS推定量に基づいた時変多変量回帰モデルおよび,Kenneth R. French教授(ダートマス大学)のホームページから取得・整理した日米のデータを用いて,Fama and French (1993, 2015, Journal of Financial Economics) で提案された2つのマルチファクターモデルにおける各パラメータの推定を実施した.また,本研究課題の目的である,国際株式市場における様々なアノマリーの時変構造を解明するための端緒となる国際比較については終えることができた.以上2点の基礎的作業を完了できた点からも,現在までの達成度は概ね良好であると判断している.
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