研究課題/領域番号 |
19K13810
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
鈴木 真也 武蔵大学, 経済学部, 教授 (70637561)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 国際M&A / 研究開発活動 |
研究実績の概要 |
前年度に収集・整理を行った各種データベースを加工・接合し、分析を行った。一方、今年度に予定していたアンケート調査については、新型コロナウィルス感染拡大による社会状況の変化により十分な効果が見込めるかどうかの見通しが不透明になったため実施を見合わせた。その上で、既存データベースの利用による代替的な手法を用いた研究に切り替えるかどうかの検討を行っている。 今年度行った研究について具体的に記述すると、まず経済産業省による企業活動基本調査および海外事業活動基本調査の個票データやビューロー・ヴァン・ダイク社の発行しているOrbis IP等のデータベースに収録されている情報、あるいはオンライン上のM&A情報データベースを利用することで、外国企業に買収された企業を特定し、分析用データベースを構築した。そのようにして作成した企業レベルのデータを用いて、外国企業に買収された企業の研究開発活動がどのように変化するのかを検証した。分析の結果、外国企業による買収は、その後被買収企業の研究開発費を減少させる効果を持つことがわかった。一方で、輸送用機械や電子機器などの産業では買収後にも研究開発費の減少が見られなかった。また、買収側企業の国籍により被買収企業の買収後の研究開発費の変化には違いがあることもわかった。これらの結果は、外国企業による企業買収は技術流出だけでなくM&A後の統合過程を通じて時間をかけて進むイノベーション活動の減退をもたらす可能性を提示した点、買収側企業の置かれた状況により、M&A後の統合過程の進め方や方向性には大きな差異が見られることを明らかにした点で意義がある。これらの研究成果は論文の形にまとめられ、ディスカッションペーパーとして刊行された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に収集・整理を行った各種データベースを加工・接合し、分析を行い、その分析結果を得た上で、その研究成果を論文の形にまとめ、ディスカッションペーパーとして刊行した。これにより、当該年度に予定していた研究内容をほぼ実施できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度実施予定であったアンケート調査については、新型コロナウィルス感染拡大による社会状況の変化により十分な効果が見込めるかどうかの見通しが不透明になったため実施を見合わせた。その上で、既存データベースの利用による代替的な手法による研究に切り替えるかどうかの検討を行っている。切り替えを行う場合には、アンケート調査に充てる予定であったエフォートを既存データベースを用いた分析に充てる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定であったアンケート調査について、新型コロナウィルス感染拡大による社会状況の変化により十分な効果が見込めるかどうかの見通しが不透明になったため実施を見合わせた。これにより、次年度使用額が生じた。現在、既存データベースの利用による代替的な手法による研究に切り替えるかどうかの検討を行っている。切り替えを行う場合には、アンケート調査に充てる予定であった使用額をデータベースや分析用機器の購入に充てる予定である。
|