研究課題/領域番号 |
19K13883
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
芦田 裕介 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (30771951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | テクノロジーシステム / 居住環境 / 農林業 / 地域交通 |
研究実績の概要 |
今年度は、マクロレベルでの農山村の居住環境の問題の整理、理論的枠組みの検討、調査対象地域の全体像をつかむための資料収集を中心におこなった。 農山村の居住環境の問題の整理については、とくに第二次2次大戦後の農業・農村政策や農村研究の蓄積について検討した。都市化や産業化の進行により、農村は農業生産の場以外にも多様な意味づけがなされる。こうした背景のもとで、農村住民の居住環境を維持するための「地域活性化」や「地域再生」の取り組みが活発化するが、居住環境をめぐるさまざまな問題は容易に解決できない状況がある。また、近年では農林業をめぐるテクノロジーの進歩により、不足する労働力の問題を解決しようとする産官学の動きがある。しかし、歴史的にみれば、こうしたテクノロジーは次第に農山村の現場ニーズと乖離したものになりつつある。 研究の理論的枠組みについては、国内外の居住環境をめぐる研究、とりわけ社会学や人類学におけるアクターネットワーク理論を援用した研究を重点的に検討した。農山村の居住環境の問題は、モノ・人・自然などの多様なアクターが織りなすネットワークの一時的な産出の効果として理解する必要がある。こうしたアクターの関連は流動的なものであり、つねに不確定な要素をはらんでいる。こうした視点からみれば、これまで政策や研究において理想とされてきた農山村の地域社会のありかたが前提としてきた、安定したモノ・人・自然の関係自体が問い直される必要がある。 調査対象地域の全体像をつかむための資料収集については、主に宮崎県北部地域に関する文献資料と統計データの収集をおこなった。とくに地域交通の変遷に関しては、廃線になった鉄道の歴史および廃線となるまでの自治体の政策、人々の公共交通に対する意識の変化などを明らかにできるデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の変更の影響及びCOVID-19の影響により、予定通りにフィールドワークと資料収集が実施できなかったため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により、当面はフィールドワークによる調査が難しいと考えられる。よって収集可能な文献や文書資料を用いた、理論的な検討を中心とした研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の変更の影響及びCOVID-19の影響により、予定通りにフィールドワークと資料収集が実施できなかったために、次年度使用額が生じた。 2020年(令和2年)度は、2019年(令和元年)度に使用できなかった助成金も合わせて使用することで、フィールドワークや資料収集、データ整理などを実施することを計画している。
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