研究課題/領域番号 |
19K13919
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
後藤 美緒 日本大学, 文理学部, 研究員 (60779932)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 占領期 / 地方メディア / 知識人の戦争体験 / 大阪 |
研究実績の概要 |
本研究は、占領期における地方メディア(現NHK大阪局、JOBK)の展開を、歴史社会学の手法をもちいて知識人の参与に着目して3年間で明らかにすることを目的とする。初年度となる2019年度は、本研究を構成する3つのサブ課題のうち、第1の課題(占領下の演芸番組の実態と解明)に取り組んだ。 上半期は、占領下のJOBKの番組確定票を確認し、演芸番組の抽出をおこなった。あわせて、東京局(JOAK)の番組確定票も確認してその独自性を探った。その結果、放送の正史に記録されていない番組を確認することができた。また、各種施設の専門職員の協力によって社内報などの存在を確認できた。 こうした史資料の確認をおこなうとともに、分析の結果得られた結果と知見について、関西社会学会で報告した。そこではJOBKで活躍した放送作家に着目した学会報告をおこない、第三の課題(地方メディアにおける知識人の関与と独自性の創出)も一部ながら着手できた。学会報告を通じて、以下で記すようなあらたな課題も見つかった。 下半期は、上半期の調査を継続するとともに、長期休暇を活かしてあらたたに占領期の新聞、雑誌記事から視聴者の実態を抽出する文献調査にも着手した。対象期間のオーディエンスの生活状況の確認が急務であることが学会報告を通じて考えられたためである。また、上半期の調査で確認できた放送局に寄せられた投書の調査、分析に着手した。調査の結果、オーディエンスに対して放送局が意識している点が浮かび上がってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の2019年は文献調査による情報収集を主として図書館・博物館施設が所蔵している史資料、なかでも電子化されておらず当該施設のみが保管している文献の調査を実施して順調に進んでいた。しかし、2月下旬より新型コロナウィルスによって各図書館および博物館があいついで閉館し、現地でのみ閲覧可能な資料の閲覧が不可能になった。3月初旬まで郵送サービスにて文献複写が可能であったが、文献複写サービスも停止したことによって初年度に実施する調査の遂行も困難になった。夏季・冬季の長期休暇を利用した文献調査を主としておこなう初年度においては、新型コロナウィルスによる各種施設の閉鎖が大きな制約となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は第二の課題(占領下の放送政策の展開と地方放送局への影響)を中心的に行う予定であったが、これらの資料が所蔵される新型コロナウィルスによる各種施設が閉館し、また今後の展開も不明瞭である。そこで、収束時には速やかに当初の計画に従って研究を遂行する準備をしつつ、これまで収集した資料をもとに第一および第三の課題に関する分析と論文執筆をおこなうこととする。また、一部の施設では専門職員の協力によって、資料の郵送が可能となっており、それらを有効に使う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによって、調査を予定していた各種施設が閉館となり現地調査が困難になったことが大きな理由である。資料の郵送や電子調査が可能になればその費用にあて、また現地調査が可能になればその費用に充当する。また、現状が続く場合においては論文執筆にあたり必要な書籍の購入や文具の費用に充てる。
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