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2019 年度 実施状況報告書

多文化化・多民族化する日本食をめぐる比較社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13920
研究機関明治学院大学

研究代表者

安井 大輔  明治学院大学, 社会学部, 准教授 (90722348)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード食文化 / 和食 / グローバル化 / ナショナリズム / アジア / ヨーロッパ / フードスタディーズ / ガストロノミー
研究実績の概要

本研究は、国境を越えて広がっていく日本食の調査を通じて、グローバル文化に関する新たな理論的なパースペクティブを得ようとするものである。
既存のグローバル文化論は、元の文脈から切り離される文化の脱埋め込みに注目し、越境文化の現地化、ハイブリッド化を報告している。一方で現代の文化は伝統・真正性の名の下にナショナル・ローカルな価値づけが重視されている。これらは単なる普遍化でもその反動でもない、より錯綜した文化現象であり、この複雑な脱/再埋め込み過程を分析できる文化理論が求められている。
グローバルに広がり変容し現地社会に適合しつつもルーツ社会に根差した文化とはいかなるものか、多文化に開かれつつも真正性を満たす文化はいかに構築されるのか、というこの理論的問いを、海外の日本食の世界を手掛かりに実証的な社会調査にもとづいて探るのが本研究である。
本研究では海外の日本食に関する文献のサーベイ調査と現地社会の飲食産業・日本食レストランに関するフィールドワーク調査を実施する。現地飲食店の参与観察、経営者や客へのインタビュー、ドキュメント分析から日本食の多民族化の過程を詳細に記述分析し、多文化に開放されつつルーツとつながる文化の恒常性を成立させる条件を考察し、グローバル文化の社会学理論の更新を目指す。
2019年度は、主として先行研究のサーベイ調査と文献資料の収集を行った。和食や日本食について収集してきた資料やデータを整理・分析し考察を加えている。今年度の実績としては、和食をめぐる国際シンポジウムにおける発表、学術雑誌への論文投稿、研究書の分担執筆をおこなった。また高校生向けの講義や文献紹介などの活動をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度である2019年度は、主として先行研究のサーベイ調査と文献資料の収集を行った。サーベイ調査では、Nation, NationalismとFood, the way of Foodsに関する研究書、"Food, Culture & Society: An International Journal of Multidisciplinary Research"(Routledge), "Gastronomica: The Journal for Food Studies"(University of California Press)などの学術雑誌を対象に、食についての人文社会科学的な研究論文や文献を収集・整理した。次年度以降に実施予定のフィールドワークの準備として、調査候補地域の日本食に関連する各種ドキュメント資料の収集を行った。特に海外の日本食・和食に関連する日本の官公庁(農林水産省、外務省、JETROなど)のアーカイブを探索し資料を整理した。

今後の研究の推進方策

2020年度は上記で整理した日本食受容の様相を伝える資料の精読と検討を通して、フィールドワークをおこなう具体的な国・都市の選定と調査準備を進める。調査準備が整い次第、調査対象地域に渡航し、フィールドワークを行う予定である。現地における日本食に関する新聞記事、雑誌、官報などの印刷物、都市空間の観察記録、画像、WEBドキュメント、映像記録を収集する。
サーベイ調査で得られた理論的視座と現地フィールドワーク調査のデータを組み合わせ、グローバル化に関する社会文化理論を検討する作業を行う。日本人によるものでない日本食の調査を日本由来の概念と現地の食材・調理法がいかに組み合わされ、日本に関するさまざまなイメージやステレオタイプがいかに取捨選択されて新しい「日本食」が創出されているのかを明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

為替レートの変動で、文献資料の購入費用が計画時点よりも少なくてすんだ。繰り越された予算は、次年度に資料購入と旅費に使用される見込みである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 思い出の味2019

    • 著者名/発表者名
      安井大輔
    • 雑誌名

      白金通信

      巻: 500 ページ: 23-23

  • [雑誌論文] 食物語ー食の履歴に反映される時代2019

    • 著者名/発表者名
      安井大輔
    • 雑誌名

      週間読書人

      巻: 3296 ページ: 6-6

  • [学会発表] Washoku as Contemporary Phenomena in Japan from Sociological Viewpoint(現代日本における「Washoku」をめぐる諸現象-社会学的観点より-)2020

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Yasui
    • 学会等名
      Washoku as Luxury Items-嗜好品としての「Washoku」-
    • 招待講演
  • [図書] マルチグラフト:人類学的感性を移植する2020

    • 著者名/発表者名
      神本秀爾, 岡本圭史
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      集広舎
    • ISBN
      9784904213872

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公開日: 2021-01-27  

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