本研究の目的は、女子マネージャーの活動内容(仕事)と意識についての「語り」をもとに、社会学研究の新しい方法論であるInstitutional Ethnography(IE)を用いて、女子マネージャー制度における制度的な性差別の存在と女子マネージャーがセクシュアル・ハラスメントを甘受しやすい要因について明らかにすることにある。2023年度の成果は、以下の通りである。 ・67名の大学アメリカンフットボール部の学生スタッフに実施したフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)のうち、「マネージャー」20名と「トレーナー」23名の分析を進め、論文としてまとめた。 ・2023年9月から2024年3月までの半年間、ハワイ大学マノア校にて在外研究を実施した。ハワイ大学のアメリカンフットボールチームに関するフィールドワークやインタビューを実施した。 ・2024年2月16日から25日までの10日間で、カナダのトロント、ビクトリア、バンクーバーをめぐりIEの資料を収集した。また、IEの提唱者であるDorothy E. Smithと関係の深いDr. Yoko Ueda、Ms. Paula Borne、Mr. David Smithといった人々に対面でインタビューを実施した。 研究全体を通しての成果は、67名へのFGIを実施できたこと、それを元に4本の原稿を執筆したこと、そして、次の研究につながるアメリカとカナダにおける研究を実施できたこと、である。
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