研究課題/領域番号 |
19K14106
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
斉藤 仁一朗 東海大学, 課程資格教育センター, 講師 (80756031)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コア・カリキュラム / 教科学習 / 教師 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績は以下の三点が挙げられる。 第一に、『社会系教科教育学研究』の第32号に「ヴァ―ジニア・プランにおける作業単元と教科学習の有機的関連」という論文が掲載された点である。同論文では、ヴァージニアプランにおける総合学習課程に位置する作業単元が、その他の教科学習領域とどのように関連しあっていたのかを明らかにした。その際に、当時の師範学校での授業開発の史料や、州教育委員会の示す時間割の事例などに注目し、作業単元と教科学習が有機的に繋がりあった実践を想定していたことを明らかにした。 第二に、『公民教育研究』の28号において「中等コア・カリキュラムに関わる専門教科の教師への対応」という論文が掲載された点である。同論文では、中等学校のコアカリキュラムの開発・実施する際に、それにかかわった専門教科(社会、国語など)の教師にどのように指示や支援を行おうとしているのかを明らかにした。これらの考察は、ヴァージニア州教育委員会が刊行している各報告書において、専門教科を持つ教師に対する言及を整理する形で行った。また、それらの分析結果を補足する形で、地方教育雑誌に掲載された専門教科の教師によるコアカリキュラムの運営方法を整理して論じた。 第三に、日本社会科教育学会の第70回全国研究大会において、発表を行ったことである。この発表では、NEA教育政策委員会の刊行した『全てのアメリカ青年のための教育』の考察を行った。考察の際には、同報告書に記載されたファームビル中等学校の事例を中心に論じた。この事例の考察を通して、同報告書のカリキュラム構想では、教科は区別が無くなり、複数の領域によって学習内容が構成され、シティズンシップ教育が学校教育における重要な位置づけを担っていたことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、本年度に予定していた史料収集のための渡米出張が実施できなかった。これに伴い、2021年度の研究成果の発信のペースが遅くなることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響に伴う米国出張の可否については、今後も見通しがはっきりとしない状況にある。そのような状況において、今後の方針としては三点あげられる。 一点目は、日本からも取り寄せ可能な資料を中心に、米国の図書館や関係機関からの資料収集を行うことである。これらの史料収集に関しては、すでに研究を開始しているヴァージニアプランの研究や、NEA教育政策委員会の史料の追加取り寄せを中心に想定している。 二点目は、1930~50年代の米国におけるコア・カリキュラムに関わる主要な代表著作を読み込み、当時の研究動向や問題関心の把握に努める点である。代表著作の数自体も多岐に及ぶ。また、これらの著作の分析を行うことで、本研究全体の位置づけが明確化できる。海外調査ができない今だからこそ、基礎的な情報整理として重要であると考えられる。 三点目は、日本における米国コア・カリキュラムに対する理解や、理論の受容過程についての調査を行う点である。この点は本研究の研究計画から見ると発展的な内容といえるが、海外調査ができない今だからこそ、日米の比較の視点を明確化した考察を行っていく試みに踏み出すチャンスとも考えられる。まずは基礎的な文献収集及び論点整理を行う必要がある。 以上の三点を研究推進方針として、2021年度の研究遂行に努めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年度に予定してた渡米調査を行うことができなかった点が挙げられる。
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